ある夏の夜のことです。
こんこんと白こんこんががけの上に立っていると
星は‘かえりたい・かえりたい’ときらきら泣きました
よくあさ、もみじやかえでの林にやってきました
‘ちがうう!’
なぜならば、星のいた場所は山より雲よりもっと高いところなのです
山のてっぺんまでくると、雨が降りだしました
こんこんと白こんこんは雨にぬれないように星をかばいました
雨が上がるとそらに虹がかかりました
星は虹の橋をいちもくさんにかけあがってゆきます
雲の上のそのまた上はとてもくらい世界でした
雲とくらい世界の間にはねずみがいました
‘その先に行かせて’と星はおねがいしました
ねずみは‘どうぞ’といいました
星は元気良くチーズ色の雲の階段をかけのぼってゆきます
たどりついたのは真っ暗で なにも なにも ないところ でした
こんこんたちはこんなさびしいところでいいの?と心配しました
‘ううん いいの’と星は強く輝きました
‘わたしはここにいて照らすの ’
気がつくとこんこんたちは いつもの野原にすわっていました
空には小さな星が光っていました
そのときです
‘どうもありがとう’
小さな声が すこし遅れて届きました
(おしまい)
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http://d.hatena.ne.jp/motimoti3/20061119から
http://d.hatena.ne.jp/motimoti3/20061204までの「今日の一枚絵」をまとめて物語をつくりました。
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