もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

ポートレート

哲学書のコーナーに佇むと神聖な空気が流れているような気がする。神から切り離して考えを打ち立てようと試みた人も多くいるから、神聖と言う表現は正しくないのだろうけれど、そこだけ何か違う気配。本の中身は良く知らなくても背表紙のカタカナの名前を目で追うのはいい気分。
そんなふうに空気を吸いながら、彼女の棚に行く。*1
わたしが兎に角見たいのは彼女の文章 ではなく、背表紙を開いたカバーの隅のポートレートだ。髪型が好き。服が好き、目の上の窪んだところと鼻と口元の影、が好き。おとなびじん・・・と彼女に言ったらたぶん知的に眉をひそめられてしまう。と思えるそこが好き。文章も見た目もわたしとはぜんぜん違う。*2あなたにはなれないけど、本当はなりたい。ただ憧れています、姿に。だって文は人なり・・・と言いたい。ここまで言ったら照れて笑ってくれる ような気もする。*3
・・・そう、笑ってくれるようになったのだ。年を経るごとにつんとした微笑は華のような笑顔に変化。新刊が出るたびにこっちも、あれ、こっちも!
ポートレートは笑うようになった。

そして来年の彼女を見ることはできなくなってしまった。



・・・

*1:そこはひときわ華やかなので目立つのだ

*2:理論的にしかも分かりやすい言葉で嫌なものは嫌といえる彼女なのだ。

*3:けど近寄りがたい人。