もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

切替

助けてくださいと世界の中心で少年が愛を叫んで、命の尊さが輝きを放ちながら青白き日輪となり、暗く暴力的な世紀末の名残りにとどめを刺した。なお冗談だろうと嘲笑するも己以外の誰もが洗い清められてゆくなかでは抵抗むなしくそれより先は光の中で暮らすよりほかはなかった。さようなら、激シイ痛ミ。

じんせいをぼうにふる

 

怪盗

西の空に垂直に沈もうとしている三日月を見ていた。小窓越しに。袋から食べているとろろ昆布。今さっきのことに加え何年も前のことも蒸し返しながら仕事のいらいら。それらを一瞬にして翠の流れ星が大きく尾を引きながら持ち去った。

マジッシャンとお呼びいただいてもよろしいですゾ

 

不通

どうしてなのかなわからないなと結論付けることをやめることにした。そのあとで理由を知った時に、ああそうだと思ったそんな気がしたと言うわたしだから。それは誠実さ立ち止まることよりも、直感を想像に変えて時を進むのを選ぶということ。でもこのことに関してはもうわからないふりはしなくていいと思う。愛しているのだから。

 

いつでも風は吹いている

 

御先

ステロイド軟膏を白くなるほどたっぷりぬってあっという間に直してしまおうと考えているところへ、斜め後ろから「お薬お探しですか?」と声をかけられ振り向くと薬剤師さんが。「喉の表面が痛かゆくて」と両ゆびを矢印にして見せたら、お顔に近いところですのでと非ステロイドのクリームをうすくぬるのがやさしくてよいですよと。

inside the body 

 

羞恥

乳腺症細胞診のう胞。く楔形文字ヒエログリフ?と見まごうような筆跡に見とれていたらあ汚い字でごめんなさいねなんていいながらも明るい。そういえば電話で水曜日は男の先生ですがご了承くださいなんて言われてはいと答えたけど看護師さんの本意は若いってことだったかとわかった。でもだいじょうぶおねいまんは羞恥心はないから。

ほしはひとみにおちて

 

着陸

高い大きな柳の綿毛がいくつかまとまってふわーっと飛んでくるのをベンチに座ってみていた。綿毛同士はいくつかまとまって次の風が吹いたらさあいくぞとスクラムを組んでやってくる。同志たちは重さで少しずつ降下してぴったりと私の手に収まった。

ひこうき雲までも(しかも二方向)