もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

フルート

彼女とわたしが知り合ったのは音楽教室だった。お互いの顔をまじまじと見た最初は、秋の発表会の曲目を先生から渡されたとき。その日からわたし達は向かい合ってフルートを吹いた。
先生は微笑んだ。
「二人はまるで鏡のようね」
わたし達はなんといっていいか分からず、同じように微笑んだ。*1
発表会の朝、わたし達は真紅のドレスを着た。
緞帳の影で先生は微笑んだ。
「二人はまるでバラのようね」
わたし達はフルートを脇に挟んで、手のひらに人を三回書いたものを飲み込むのに忙しいバラで、あった。



・・・

*1:彼女は後でこっそりわたしにいった。「鏡ならフルートは同じ方向を向くはずよね。」向かい合ったとき。