もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

家出

行き止まり

家の天井のどこにどんなふうに穴が開いたっていじゃないか、ダウンライト!と叫んだ。仕事も粗品も放り投げてしまいたかった。もうどこにも行きたくてどこにも行きたくなかった。夜十時頃から朝明るくなるまでの時間乗っていられるバスはありますか?あります、青春ドリ−ムまるまる3号です。6時間時間をつぶした東京の地下は暖かくもぐらたちはこれからどこかへ出かけるらしいのだった。足柄サービスエリアから6時間わたしは犬のように眠り、灰色の駅に捨てられて電車を乗り継ぎ途方にくれた。どこにいるの?どこにもいないよ。線路の果てに止まった電車から電車へ。

お風呂に入りたいと切望すると赤いバスが現れた。山道を通り抜けるとそこは温泉旅館だった。昨日もらった粗品は偶然にもタオルだった。高血圧に効くというぬるいお湯に入りながらこれ以上低血圧になったら献血できないなあと考えた。それだけ考えるとあとはもう考えることは何もない気がした。蝉の声を聞きながら蝉になって松に留まった。
駅の改札ごとに無効印を押してくださいと頼んだ切符の数々。ますのすし・なっとうまき・牛乳・クロワッサン・干したフルーツが入った硬いパン。それらをテーブルの上に並べた。のぞみ三列シートの残る二人は仕事がうまくいって気分も晴れやかな会社員なのだった。枝豆食べますか?はい。ソーセージもどうぞ・・・窓の景色から目を離せずに目が覚めるとじき横浜だった。
家はいいなと思った。ベッドもおふろもコンセントもある。家はモノが寄せ集まった完全形だ。ないモノはない。


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