もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

生活

ふわふわ

祖父母の家は小さな平屋でその周りは庭木で囲まれていた。裏には古い物置小屋西と南には手作りの大きな鳥小屋があってそれぞれチャボ3羽キセイインコ・ジュウシマツ12羽を飼っていた。鳥を狙いに猫が来る。猫はころ*1が駆け寄ってくると逃げる。ふたりは春に畑を耕し、種を撒き、夕暮れになると古い椅子にふたりで座り、道行く人たちにあいさつをした。夏はよしずをした暗い部屋の中で扇風機とうちわを片手に時代劇を見ていた。秋には実った野菜や果物を近所におすそ分けし、黒い鉢植えの菊は見事な花を咲かせた。祖父は時々カレンダーの裏にクレヨンで絵を描いていた。祖母はことあるごとにおはぎをつくってお皿に乗せてもってきてくれた。お正月前には石のうすで餅つきをしておおきなのしもちを何枚も作った。床の間には「天照大神」というかけじくがあった。わたしたちはみんなで粉だらけになりあんころもちをまるめながら、お正月の準備をした。
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*1:いぬ