もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

スキーの歌

 全校集会でみんなが歌っている歌をわたしだけ歌えなかったと家に帰ってきた。思い出そうとしたけど、もう覚えていない。(ナウい歌だからお母さんは知らないかもしれない。さぎりきゆるみなとえのみたいのだったら知ってると思うけど。)スキーはナウいスポーツだから、お母さんの子どものころにはまだなかったと思うから、そうするとこれからもずっと歌えなくて「あ、もちちゃん歌えないん?」とぜったい言われる。こまる。うるさい男子にはやし立てられるのも、やさしい女子に心配されるのもいやだ。 だからすごくさり気なく、
「ねえ、お母さん。スキーの歌っていう歌知ってる?」
と、『みんなの歌』の本を見せた。
「知っているよ。どうしたの?」
と、言った。
(知っているんだ、良かった。)と思ったけれど、すぐに、お母さんに、わたしが心配していることを言ったら心配されるかもと思ったので、
「今日、学校で歌えなかった。カゼで一週間休んだからみんなその間に習ったんだと思う。」
と、ふつうに何も心配していないふりで言ったら、
「じゃあ、いっしょに歌おうか。」
と、すぐ言って、こたつのところで『みんなの歌』の本を二人で見るように開いた。
おかあさんが
「やーまはしろーがねー」
と、歌って止まった。
(あ、そうそう。この歌。みんなが講堂で歌っていたやつだ。)とうれしくなって、わたしも
「やーまーはしろーがねー」
と、歌った。
 そしてすこしはずかしい気持ちになった。だってお母さんが先生になったら、わたしはお母さんの子どもなのに生徒になるみたいだから。
 明るくて少しはやくてとってもいい歌。
 お母さんはこの歌をいつ知ったのかな。
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