笑顔

高校生の頃、日曜日Ｉ君が魚釣りをしている河へ土手を下りて歩いて行った。あの辺かなと一団を見降ろしたら、おじさんに混じってうち一人はやっぱりＩ君だったので、嬉しくて「Ｉくーーん」と後ろから近づきながら呼んだら、Ｉくん及び数名の釣人が振り返った。と同時にテトラポットの隙間に落ちて、わたしは地表に笑顔だけ出た人になってしまった。そして自力腕力で這い上がり「釣れた？」と聞いた。あの世界、Ｉ君及び数名の釣人の大きく仰け反って退いた表情。
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今週のお題「ゾクッとする話」