もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

青い電車

昨日の自分とその前の自分とその前の前の自分、明日の自分と明後日の自分としあさっての自分。・・・ううん、もっと細かく。一分前の自分、二分前の自分、一時間前の自分。
そんなふうに自分の分身をたくさん作って自分の責任と人生のリスクを分化させよう。そして「いざ鎌倉」のときがきたらありとあらゆる少女から老女までの分身を結集させて味方になってもらおう、と嬉々として自分を分裂させていくのだった。
彼女達は、どこへでも歩き回り、飛んでいった。春の野原へ地の迷宮へ。ひとりで。連れ立って、海へ。


ある日、突然 一大事の時は来た。
わたしは、わたしを探した。
探すわたしが、わたしを探した。
しかし、数多いる分身の中で、集結をかける中枢のわたしはどこにも見当たらないのだった。
すれ違うわたしが私に尋ねる。
ううん、しらない。
それは、わたしじゃない、しらない。。。ちがうよ、わたしじゃないよ。


わたしはわたしに聞くのをあきらめて、青い電車で通り掛かった夏うさぎに聞いた。(夏うさぎはすっかり茶色い毛に生え変わっていた。)
「集める方法を考えずにわたしはわたしを分散させ増殖させてしまいました。わたしを統一する意思はどこにあると思いますか。」
茶色いうさぎは言った。
「そこに映る顔だよ。」
ゆっくりと走り出す青い電車。わたしは立ち尽くしてその窓に映し出される自分の顔をじっと眺めていた。



・・・