もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

夢十夜 四、菊の紋の家

ずるずる

秋晴れのその日、父親が家の修理をしたから見てほしいと呼ぶ声が聞こえる。表に出てみると石畳と丸い蓮の池がある。そこはお寺の境内であったのだがお堂のあるべきところには、総二階がそびえ建っている。
おかしいなと思いつつ石垣の上に腰掛けて見ると、なるほど破風の部分が欄間風の黒いつる草や波に千鳥や鶴亀の凝った彫り物で一周、埋め尽くされている。壁は滑らかに翡翠色で光っている。屋根部分の細かさと壁の無機質的な雰囲気がまるで合わないのはなぜなのだろうと思う。さらにこの建物の意匠を読み取ろうと丹念に眺めていると、中央部に菊の花の紋があった。さすがにこれは・・・大丈夫なのだろうか、・・・大丈夫ならいいけれど・・・と狼狽したが、民主主義の世の中だし、まあ誰にも意外な一面があるものだから大丈夫、と自分に言い聞かせた。


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