もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

芸術家の娘の物語

芸術家には年頃の娘が居ました。
ある日父と娘は結婚相手を探しに行きました。
最初に訪れたのは『絵画』のところでした。
「一瞬にして感覚と物事のすべてを伝えることができるあなたはこの世で一番優れています。どうぞこの子との結婚を考えていただけませんか。」
『絵画』はいいました。
「いいえ。わたしの力は『言葉』には到底かないません。」
ふたりは『言葉』の前に立ちました。
「絵画では到底表しきれない色と場面と抽象と現実を、文字の組み合わせで表象できるあなたはこの世で一番すぐれています。どうぞ子との結婚を考えていただけませんか。」
『言葉』はいいました。
「いいえ。わたしの力は『音楽』には到底かないません。」
ふたりは『音楽』の前にやってきました。
音楽はふたりが話し始めるより早くいいました。
「・・・いいえ、わたしの力は『映画』にはかないません。」


ふたりは町外れの映画館の前にやってきました。
そしてすごくすごく久しぶりに、親子並んで映画を見て、家に帰りました。

(おわり)





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