もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

宮崎駿映画「風立ちぬ」堀越二郎+堀辰雄=だれか?

2013年の秋に風立ちぬを見ました。宮崎駿は自分の最期になるであろうこの作品でどうしてこの主人公と物語を選んだのだのかなあ、?と思って映画館を出ました。
考察1:堀越+堀=宮崎駿
→ううん違う気がする。紅の豚宮崎駿で既にやってるし。
考察2:堀越+堀=宮崎駿の恋人?
→そうかもしれない。でなければちょっとした仕草をあんなふうに恋する眼差しで見つめて丁寧に時間をかけて再現しようとは思わないもの。とにかく主人公を表現する所作などは、ロトスコープ以上に特定の誰かを生き写しにしているかのようで、生き生きとしていて本当に素晴らしかったと思います。あんなふうに描けるのは恋しかない。駿は少女が好きだなんて思われているかもしれないけどそうではなく、実は同性愛者であるから、男女の恋愛に今一歩踏み込めず少年少女の友愛を描いていたのかも。そう思って回想すると、次郎と菜穂子の恋をじっと見つめて二人の世界に決して割入ってゆけない宮崎の姿を感じます。次郎のような人に恋した宮崎の瞳に映った記録映像のように思えてきます。…そうか。宮崎駿は最後の作品に一番好きだった人を描こうとしたのだなというところで、わたしは納得し考察を止めようとしました、が、まだ何となく腑に落ちません。今までアニメーションを通じて社会提起をしてきた彼が膨大なお金と時間をかけて私欲のためだけに作品を作るでしょうか。そして、わたし自身の納得のために彼を簡単にゲイと決めてしまってもよいのでしょうか。そしてもうひとつ気にかかるのは、あの主人公に会ったことがあるという気がしてならないということ。遠い昔わたしもどこかで・・・でも思い出せません。
それからしばらく、初冬に入ったある日。
わたしがプティットマドレーヌを紅茶に浸しながら食べ、雑誌「諸君!」のバックナンバーを手に取った時のことです。あっとその人物を思い出し涙してしまいました。線が細くて優しそうな首元。直立不動で立つあの姿勢。眼鏡越しに見る視線。時折内側の世界に入ってしまうような独特の雰囲気。
考察3:堀越+堀=昭和天皇
宮崎駿は「風立ちぬ」で昭和天皇を主人公にしました。そして世界の中でもとりわけ美しい日本人男性の精神と生き方に光を当てたのです。物事に真摯に取り組む精神。気を使わないように見せる形で気遣いをする奥深い優しさ。勤勉さ。想像力。欧米人と並び肩で風を切って歩く日本人。それはあの頃わたしたちが夢見た姿でした。窮地に立った時にも決して卑屈にならず、今生きることを選ぶ強さ。良心に従って行動する姿勢。わたしは心の中で小旗を打ち振って彼らを称えました。弥栄。
・・・