もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

ひとり

我という人の心はただひとり われより外に知る人はなし

                   ― 谷崎 潤一郎 ―     (小説家)

「人は誰だってひとりぽっち」 という言葉と相反する、
「人は一人では生きてゆけない」という言葉がこの世に存在するのはなぜだろうね。

ストイックなもちさんの人生は「咳ひとり 風の道 」だ。
けれども、遠くのほうから、わたしの車の消し忘れた(・・・実はそういうわけじゃなくて薄暗いから点けているだけの)ライトに向かって必死でパッシングをして教えてくれようとするおじさんや、鍵落としましたよ、財布落ちましたよ、バック落としましたよ、時計落としましたよ、マフラー落としましたよ・・・って今までに教えてくれたおじさんやたちを思いかえすたびに、やっぱりひとりではいきてゆけないことに気づいたりする。
今日、コンビニエンス・ストアーでカラーコピーをとっていたおじさんの忘れていった原稿を見つけた。その人を探したら車に乗り込む寸前だったので、すみません、すみません、す・み・ませーーーーんと叫んで渡した。
先日、電車の帰り道、わたしも乗り換えてちょうど通る予定の駅を聞かれたので教えてあげた。けれども、一緒には行かなかった。
わたしと一緒にゆきましょう、乗り換え時間短いですから、とあの女の人に言おうと思えば言えたはずなのに、言えなかった。