もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

さつまいもほり

秋の恒例行事のさつま芋ほりでは、みんなが張り切るのと反比例する速さで冷めてゆく少女もちである。だってまたあの土の中から掘り出す作業だけでしょう?と片手にスコップ片ポケットに「死ぬまで有効の免許証」を忍ばせ、茎だけがあらわになった、一筋の畝の、後ろから五番目のところにしゃがんでいる。
わたしが早くもなく遅くもなくみんなと歩調を合わせながら優等生風に掘りあて終わっても、かえるに帰れず団体行動に途方にくれているころ、無邪気な男の子グループは誰に言われたわけでもなく既に蛙を10ぴきくらい集める任務を遂行しはじめている。
そのとき畝の真ん中あたりが騒がしくなる。「N君の芋はでかいらしい」「まだ掘ってるらしい」
背も・出席番号も・勉強も・スポーツも・すべて平均的なN君は、笑い声と励ましと秋の陽のスポットライトを浴びて意味不明な汗をかいている。緑色のジャージを着た先生も腕を組んだ馬のように笑っている。
「なんかこれほりずれえ」とかちょっと不良ぶるN君の独り言みたいなひとこと。泣いてるのか笑っているのかうれしいのか恥ずかしいのかはっきりしない顔。*1
しばらくして、歓声。

わたしはたまらなくなって走りだす。
(kamisama ha imasuka?)


・・・

*1:ほんとうの不良はそんなこといわない