もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

お絵かき少年

中学校の頃隣の席だった男の子は朝から晩までずっと授業をサボって絵を描いていた。今でいうポケモンみたいなゲームのキャラクターを自分で作ってそのキャラクターの性格や特徴などを表にして小さいノートにまとめ、色鉛筆で立体的に色を塗って綺麗に仕上げていた。
失敗したものをどうするの?と言ったら、捨てるというので、じゃあ欲しいと言ったら、その後失敗するたびに「いる?」と言うようになったのでうんと言っていた。
体育と給食の時間はさすがに絵を描いていなかった。それ以外はずっと鼻息荒く絵を描いていた。
そんな彼は三年生の1月になるとぱったりと絵を描くのをやめた。あたまを抱えていらいらしながら受験のための勉強をしていた。曲線のかわりに数字を、色の変わりにアルファベットを用いノートに書き付けていた。その甲斐あって、か 特技を活かしてやっぱりというべきか、春には無事にデザインが学べる地元の高校に入学が決まった。また授業中に絵が描ける様な環境になったようだね、まあ良かったねと言った。数年後会ったとき絵を生かした仕事をしていると聞いた。そのときもまあ良かったねと言った。
そういえばあれから十数年経った。
彼はまだ絵を描いているだろうか、と今日思った。描いているとしたら、仕事をさぼって自分の好きな絵ばかりを描いているんじゃないかなあ、ふいに先生から指されたときに「P52の4行目。」と教えてくれる隣の席の子はいるんだろうか、とか思った。


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