もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

夢十夜 六、完璧な彼女は

ばらの実

彼女は何でもできる人だ。多忙な日々を難なくこなし、家庭や友達を大切にし思いやりと正義感を持ち押し付けでないこころ配りをし、いつも明るい。そんな彼女が忙しい合間を縫ってエステティシャンの免許をとったという。そしてわたしもふくめ、7人の仲間にマッサージをしてくれるという。みんなは大喜びである。けれどもわたしだけは彼女が今とても辛いところにいて他人になにかして上げられるような状態ではないことを知っている。
うつ伏せになりながら聞く彼女の声は弾んでいる。しかし彼女の目はわたしの背後で悲しみに伏せられているのだ。見えていないけれども分かってしまっている。彼女はわたしが彼女をわかってしまっていることを分かっている。それだからこそ、こんなふうに重要なことにはあえて触れず、ただただ時間を共有しあう。そのことにどんな意味があるのかも、お互いに分かっている。

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